注目の"クリエイターコラボ"シャツシリーズ。今回タッグを組んだのは、ファッションデザイナーのデリック・ウォーカー氏。故郷スコットランドでファッションとテキスタイルを習得した後、ロンドンへ渡る。ミラノのジャンニ・ヴェルサーチでも学び、2005-06AWには自身のブランドをスタート。2006-07AWにはロンドンにてコレクションデビューも果たした彼は、イタリアンソフトなイメージを持つシャツをデザインした。彼のシャツに込めるこだわりやメッセージを、サリームに聞き出してもらった。
"着る"と"見られる"は同ステージ
360°完璧なシャツで周りもハッピーに
Saleem d'Aronville(以下Saleem)「ブルーに前立てのイエローパイピングが映える素敵なデザインだね。完成品を一目見て惚れぼれしたよ!」
Deryck Walker(以下Deryck)「ブルーは僕のトレードマーク色だからね。でも、オールブルーだとイメージが強くなりすぎるから、緩和剤としてイエローを投入したんだ。タイをつけるとイエローパイピングが隠れるから、ビジネスシーンにもマッチするだろ? 」
Saleem「本当だ。君は紳士・婦人両方のテーラリングを学んでいるよね。今回、その知識と感覚をシャツにどう活かすのかがとても興味深かった。女性の視点で男性服をデザインするっていうところが特にね」
Deryck「男性が一番気にすることは、女性にどう見られているかということ。着用するのは男性でも、それを近くで見て、感じて、評価を下すのは女性だから。逆に女性だって服を選ぶとき、男性にどう見られるか考えてる。だからこのシャツには、女性を意識して柔らかいディテールをプラスしたんだ。そこには過去にイタリアで学んだこともミックスされているよ。ベースは凛としたブリティッシュ、そこに"女性"と"イタリアン"に共通するソフトディテールを組み合わせたのさ。例えば、衿や袖の角という角をすべてラウンドにして、優しさや親しみやすさを表現したところとか」
Saleem「うん、とてもクールだよ。私も早速スーツに合わせて着たのだけれど、妻に褒められたんだ。着ることで自分がいい気分になるだけじゃなく、周りの人も笑顔にするパワーもあるなんて最高の服だね! 次にコーディネートするなら、ネイビー×ピンストライプスーツやレッドのタイなんかがいいなって思っているんだ。それからこのシャツ、着心地も格別だね」
Deryck「ありがとう! もちろんさ。着やすくて動きやすいようなパターン・カッティングに細心の注意を払っているからね。デザインのこだわりと着心地のよさは両立していないと意味がない。そこがデザイナーと技術者の腕の見せ所だと思うよ」
Saleem「君の言う技術者=日本人、その日本での仕事はどうだったんだい?」
Deryck「すごくスムーズでやりやすかった。日本人は礼儀正しく、真面目で文化も高い。その気質は、仕事にも反映されていると感じたよ。だからヨーロッパ、特にロンドンで"made in Japan"は非常に人気があるんだ」
Saleem「そうだね。パイピングなど繊細なディテールは、イギリスではコストが高すぎてほとんど作られることがない。だからこのシャツに使われているディテールは、イギリスではオートクチュールになるくらい貴重なものだね」
Deryck「でも、日本でならコストの制約を受けないですむから、妥協なくデザインができたよ。特にラウンド部分のパイピングは非常に高い技術が必要。イギリスでは何回もやりとりをしないと納得いくものが出てこないのに、日本では1回でほぼ完璧なシャツが出来上がってきたんだ。こんなに難しいディテールを多用しているシャツは、イギリスでは見つけられないんじゃないかな」
Saleem「イギリスでは、ベーシック&トラディッショナルなデザインがほとんどだからね。それに比べたら、確かにこのシャツのデザインはありえないほど贅沢だ(笑)」
Deryck「友達からは『ドルチェ&ガッバーナよりグッチより、着心地も見た目も最高だよ!』なんて言われてるんだ! それにロンドンでは、すぐに完売してしまったんだよ」
Saleem「嬉しい限りだね。ロンドンのクリエイティブな人たちは、日本の製品を好んで使う傾向がある。それは、そのクオリティの高さとデザインのよさを高く評価して信頼してくれているんだと思う。イギリスは、アメリカよりも日本そのものをよく理解し、受け入れられやすいんじゃないかな。デリック、君に日本での次のプランはあるのかな?」
Deryck「日本の技術は最高だからね。また仕事をしたいと熱望しているよ。まずは、パートナーを探して、"made in Japan"商品をイギリスでもっと広めるってことを考えてる」
Saleem「ヨーロッパのデザインと日本の技術が融合する。これって、最強で最高にいいものを完成させる最短ルートだと思うね。どちらも世界において先鋭的で、同時に歴史も大切にする考えの持ち主。そして日本には特に、群を抜く技術センスがある。それらの長所をうまくミックスさせていくことが、今後私たちの使命だと感じているよ」






英マンチェスター大学卒業後、マルベリー社やマッキントッシュ社でクリエイティブディレクターを歴任。その後、英国貿易産業省のエクスポートプロモーターとして、数多くの英国人デザイナーや英国ブランドの日本進出をサポート。2003年よりオリヒカのクリエイティブディレクターに就任。
注目の"クリエイターコラボ"シャツシリーズ。今回タッグを組んだのは、ファッションデザイナーのデリック・ウォーカー氏。故郷スコットランドでファッションとテキスタイルを習得した後、ロンドンへ渡る。ミラノのジャンニ・ヴェルサーチでも学び、2005-06AWには自身のブランドをスタート。2006-07AWにはロンドンにてコレクションデビューも果たした彼は、イタリアンソフトなイメージを持つシャツをデザインした。彼のシャツに込めるこだわりやメッセージを、サリームに聞き出してもらった。
"着る"と"見られる"は同ステージ
360°完璧なシャツで周りもハッピーに
Saleem d'Aronville(以下Saleem)「ブルーに前立てのイエローパイピングが映える素敵なデザインだね。完成品を一目見て惚れぼれしたよ!」
Deryck Walker(以下Deryck)「ブルーは僕のトレードマーク色だからね。でも、オールブルーだとイメージが強くなりすぎるから、緩和剤としてイエローを投入したんだ。タイをつけるとイエローパイピングが隠れるから、ビジネスシーンにもマッチするだろ? 」
Saleem「本当だ。君は紳士・婦人両方のテーラリングを学んでいるよね。今回、その知識と感覚をシャツにどう活かすのかがとても興味深かった。女性の視点で男性服をデザインするっていうところが特にね」
Deryck「男性が一番気にすることは、女性にどう見られているかということ。着用するのは男性でも、それを近くで見て、感じて、評価を下すのは女性だから。逆に女性だって服を選ぶとき、男性にどう見られるか考えてる。だからこのシャツには、女性を意識して柔らかいディテールをプラスしたんだ。そこには過去にイタリアで学んだこともミックスされているよ。ベースは凛としたブリティッシュ、そこに"女性"と"イタリアン"に共通するソフトディテールを組み合わせたのさ。例えば、衿や袖の角という角をすべてラウンドにして、優しさや親しみやすさを表現したところとか」
Saleem「うん、とてもクールだよ。私も早速スーツに合わせて着たのだけれど、妻に褒められたんだ。着ることで自分がいい気分になるだけじゃなく、周りの人も笑顔にするパワーもあるなんて最高の服だね! 次にコーディネートするなら、ネイビー×ピンストライプスーツやレッドのタイなんかがいいなって思っているんだ。それからこのシャツ、着心地も格別だね」
Deryck「ありがとう! もちろんさ。着やすくて動きやすいようなパターン・カッティングに細心の注意を払っているからね。デザインのこだわりと着心地のよさは両立していないと意味がない。そこがデザイナーと技術者の腕の見せ所だと思うよ」
Saleem「君の言う技術者=日本人、その日本での仕事はどうだったんだい?」
Deryck「すごくスムーズでやりやすかった。日本人は礼儀正しく、真面目で文化も高い。その気質は、仕事にも反映されていると感じたよ。だからヨーロッパ、特にロンドンで"made in Japan"は非常に人気があるんだ」
Saleem「そうだね。パイピングなど繊細なディテールは、イギリスではコストが高すぎてほとんど作られることがない。だからこのシャツに使われているディテールは、イギリスではオートクチュールになるくらい貴重なものだね」
Deryck「でも、日本でならコストの制約を受けないですむから、妥協なくデザインができたよ。特にラウンド部分のパイピングは非常に高い技術が必要。イギリスでは何回もやりとりをしないと納得いくものが出てこないのに、日本では1回でほぼ完璧なシャツが出来上がってきたんだ。こんなに難しいディテールを多用しているシャツは、イギリスでは見つけられないんじゃないかな」
Saleem「イギリスでは、ベーシック&トラディッショナルなデザインがほとんどだからね。それに比べたら、確かにこのシャツのデザインはありえないほど贅沢だ(笑)」
Deryck「友達からは『ドルチェ&ガッバーナよりグッチより、着心地も見た目も最高だよ!』なんて言われてるんだ! それにロンドンでは、すぐに完売してしまったんだよ」
Saleem「嬉しい限りだね。ロンドンのクリエイティブな人たちは、日本の製品を好んで使う傾向がある。それは、そのクオリティの高さとデザインのよさを高く評価して信頼してくれているんだと思う。イギリスは、アメリカよりも日本そのものをよく理解し、受け入れられやすいんじゃないかな。デリック、君に日本での次のプランはあるのかな?」
Deryck「日本の技術は最高だからね。また仕事をしたいと熱望しているよ。まずは、パートナーを探して、"made in Japan"商品をイギリスでもっと広めるってことを考えてる」
Saleem「ヨーロッパのデザインと日本の技術が融合する。これって、最強で最高にいいものを完成させる最短ルートだと思うね。どちらも世界において先鋭的で、同時に歴史も大切にする考えの持ち主。そして日本には特に、群を抜く技術センスがある。それらの長所をうまくミックスさせていくことが、今後私たちの使命だと感じているよ」






英マンチェスター大学卒業後、マルベリー社やマッキントッシュ社でクリエイティブディレクターを歴任。その後、英国貿易産業省のエクスポートプロモーターとして、数多くの英国人デザイナーや英国ブランドの日本進出をサポート。2003年よりオリヒカのクリエイティブディレクターに就任。