今回、オリヒカとタッグを組んだのは久保寛人氏。初めての出会いは、久保氏がクラインダイサムアーキテクツ在籍時に"オリヒカ表参道店"の建築デザインを担当したことに遡る。人が心地よさを感じるポイントを知り尽くし、その考えは対象が何になろうと変わらない。そんな考えに共感し、興味を持っていたサリームが久保氏とトークセッション! コラボシャツのこだわりはもとより、"デザイン"というものへの2人の想いが明らかになりました。
日常の中で疑問と理解を繰り返すこと
それが新たな心地よさを生み出す秘訣
Saleem d'Aronville(以下Saleem)「建築という大きなデザインをするHirotoが、"シャツ"という小さなものをつくる。そういう、異分野のことを考えるときってどんな感じなんだろう!? 僕も、いつもワクワクするんだよ」
Hiroto Kubo(以下Hiroto)「建築って、言い換えれば"総合芸術"だよね。ヨーロッパでは、建築を学んだあと、ファッションや広告、映画などで活躍している人が多いし。僕はもともと車や家電が好きなのもあって、"ものをデザインする"ことに興味はあったんだ」
Saleem「Hirotoは外見や雰囲気が"THE日本人"だと感じてた。でも裏腹に、考え方がものすごくモダンなんだよ。そのギャップとバランスのとり方が興味深くてね。オリヒカの理念と通じるものがあるのは、表参道店のデザインを担当してもらったときから解っていた。でも、洋服は存在自体が和洋折衷であり、伝統とお洒落、そして何より使いやすさが欠かせない。オリヒカはそのどれもないがしろにしたくない、むしろすべてをぐっと高めていきたいと考えているから、Hirotoがどういうものを生み出すのかとても楽しみだったよ」
Hiroto「僕も表参道店のデザイン、楽しませてもらったよ。"洞窟"っていうテーマを聞いたときから空想が広がっていたんだ! 子供の頃に友達と秘密基地を作って遊んでいたことを、ふと思い出したよ」
Saleem「シャツを実際にデザインしてみてどうだったかい? かなりミーティングを重ねて、結局1年! 練りに練ったよね」
Hiroto「そうなんだよ。"シャツ"というものについてのプロではないから、事前に片っ端から勉強したんだ。まず、"シャツ"が人にとってどういう存在なのか。心地いいシャツには何が必要か。そして、僕なりのデザイン性。すべてがミックスされたものをイメージしたかったんだ」
Saleem「そう、君のそういうところがとても実直で面白いんだよ。"シャツの歴史"から調べかねないからね(笑)最初からイメージは『やわかくて、でもフォーマルに使えるシャツ』って話していたね」
Hiroto「洋服を選ぶ基準はいろいろあるけれど、ビジネスシャツの場合は相手に与える印象も大切。僕がそれを着るシーンを考えたとき、相手の目線を和ませるような特長が欲しいと思ったんだ。会話を生むきっかけにもなるでしょう!?」
Saleem「かっちりとしているだけのシャツは、真面目さは伝えられるけれど長時間着ていると疲れてしまうよね。それならフォーマル感は適度に残して、ユーモアをプラスした方が誰にとっても有益なことだよ」
Hiroto「そのバランスが今回のポイントなんだ。パターンはトラッドなクレリックシャツタイプで、細かい部分に僕なりの遊び心を加えたよ。手ぬぐいのような肌触りの生地にぬくもりのある木のボタン、それにお腹には"ドラえもん"のポケットみたいにいろいろ入れられるポケットをつけたのさ!」
Saleem「そうそう! あのポケットは傑作だね。僕だって『何が出てくるんだろう!?』って期待しちゃうよ。単調なフォーマルシャツにはなかなかないデザインで面白い」
Hiroto「カフスボタンには、薄くてフラットなタイプを選んで作業の邪魔をしないような配慮も忘れていないよ。こういった、伝統と、遊び心と、使いやすさをミックスさせることを考えるのは、建築もプロダクトも変わらない」
Saleem「同感だよ。ビューティフルでもユーティリティがなくちゃ、結局"もの"って使わなくなるし、その逆でもダメ。特に日本人は、どちら側の感覚にも長けているから重視すべき点だね」
Hiroto「そうだよね。きちんとシーンにマッチしながらも、ちょっとしたアイデアで周りを驚かせたり楽しませたりできるものは、ずっと使えるし使いたくなるものだよ」
Saleem「Hirotoは、テクニカルな部分もとても得意。ショップをデザインするときも、シャツのときも、必ずたくさんの質問を僕に投げかけてきたよね。"いつ、どこで、どんな風に、どんな人に必要なものなのか"。きっと、デザインするときだけじゃなく、日常生活の中でそういった問いかけを自然にしているはず。そのパッションと緻密さを融合させられたのが、今回のシャツ。たくさんの人と会う機会が多い人こそ、このデザインの良さが身に染みるんじゃないかな」
Hiroto「僕もそう思っててたよ。このシャツを笑顔のきっかけにしてもらえると嬉しいな」




英マンチェスター大学卒業後、マルベリー社やマッキントッシュ社でクリエイティブディレクターを歴任。その後、英国貿易産業省のエクスポートプロモーターとして、数多くの英国人デザイナーや英国ブランドの日本進出をサポート。2003年よりオリヒカのクリエイティブディレクターに就任。
今回、オリヒカとタッグを組んだのは久保寛人氏。初めての出会いは、久保氏がクラインダイサムアーキテクツ在籍時に"オリヒカ表参道店"の建築デザインを担当したことに遡る。人が心地よさを感じるポイントを知り尽くし、その考えは対象が何になろうと変わらない。そんな考えに共感し、興味を持っていたサリームが久保氏とトークセッション! コラボシャツのこだわりはもとより、"デザイン"というものへの2人の想いが明らかになりました。
日常の中で疑問と理解を繰り返すこと
それが新たな心地よさを生み出す秘訣
Saleem d'Aronville(以下Saleem)「建築という大きなデザインをするHirotoが、"シャツ"という小さなものをつくる。そういう、異分野のことを考えるときってどんな感じなんだろう!? 僕も、いつもワクワクするんだよ」
Hiroto Kubo(以下Hiroto)「建築って、言い換えれば"総合芸術"だよね。ヨーロッパでは、建築を学んだあと、ファッションや広告、映画などで活躍している人が多いし。僕はもともと車や家電が好きなのもあって、"ものをデザインする"ことに興味はあったんだ」
Saleem「Hirotoは外見や雰囲気が"THE日本人"だと感じてた。でも裏腹に、考え方がものすごくモダンなんだよ。そのギャップとバランスのとり方が興味深くてね。オリヒカの理念と通じるものがあるのは、表参道店のデザインを担当してもらったときから解っていた。でも、洋服は存在自体が和洋折衷であり、伝統とお洒落、そして何より使いやすさが欠かせない。オリヒカはそのどれもないがしろにしたくない、むしろすべてをぐっと高めていきたいと考えているから、Hirotoがどういうものを生み出すのかとても楽しみだったよ」
Hiroto「僕も表参道店のデザイン、楽しませてもらったよ。"洞窟"っていうテーマを聞いたときから空想が広がっていたんだ! 子供の頃に友達と秘密基地を作って遊んでいたことを、ふと思い出したよ」
Saleem「シャツを実際にデザインしてみてどうだったかい? かなりミーティングを重ねて、結局1年! 練りに練ったよね」
Hiroto「そうなんだよ。"シャツ"というものについてのプロではないから、事前に片っ端から勉強したんだ。まず、"シャツ"が人にとってどういう存在なのか。心地いいシャツには何が必要か。そして、僕なりのデザイン性。すべてがミックスされたものをイメージしたかったんだ」
Saleem「そう、君のそういうところがとても実直で面白いんだよ。"シャツの歴史"から調べかねないからね(笑)最初からイメージは『やわかくて、でもフォーマルに使えるシャツ』って話していたね」
Hiroto「洋服を選ぶ基準はいろいろあるけれど、ビジネスシャツの場合は相手に与える印象も大切。僕がそれを着るシーンを考えたとき、相手の目線を和ませるような特長が欲しいと思ったんだ。会話を生むきっかけにもなるでしょう!?」
Saleem「かっちりとしているだけのシャツは、真面目さは伝えられるけれど長時間着ていると疲れてしまうよね。それならフォーマル感は適度に残して、ユーモアをプラスした方が誰にとっても有益なことだよ」
Hiroto「そのバランスが今回のポイントなんだ。パターンはトラッドなクレリックシャツタイプで、細かい部分に僕なりの遊び心を加えたよ。手ぬぐいのような肌触りの生地にぬくもりのある木のボタン、それにお腹には"ドラえもん"のポケットみたいにいろいろ入れられるポケットをつけたのさ!」
Saleem「そうそう! あのポケットは傑作だね。僕だって『何が出てくるんだろう!?』って期待しちゃうよ。単調なフォーマルシャツにはなかなかないデザインで面白い」
Hiroto「カフスボタンには、薄くてフラットなタイプを選んで作業の邪魔をしないような配慮も忘れていないよ。こういった、伝統と、遊び心と、使いやすさをミックスさせることを考えるのは、建築もプロダクトも変わらない」
Saleem「同感だよ。ビューティフルでもユーティリティがなくちゃ、結局"もの"って使わなくなるし、その逆でもダメ。特に日本人は、どちら側の感覚にも長けているから重視すべき点だね」
Hiroto「そうだよね。きちんとシーンにマッチしながらも、ちょっとしたアイデアで周りを驚かせたり楽しませたりできるものは、ずっと使えるし使いたくなるものだよ」
Saleem「Hirotoは、テクニカルな部分もとても得意。ショップをデザインするときも、シャツのときも、必ずたくさんの質問を僕に投げかけてきたよね。"いつ、どこで、どんな風に、どんな人に必要なものなのか"。きっと、デザインするときだけじゃなく、日常生活の中でそういった問いかけを自然にしているはず。そのパッションと緻密さを融合させられたのが、今回のシャツ。たくさんの人と会う機会が多い人こそ、このデザインの良さが身に染みるんじゃないかな」
Hiroto「僕もそう思っててたよ。このシャツを笑顔のきっかけにしてもらえると嬉しいな」




英マンチェスター大学卒業後、マルベリー社やマッキントッシュ社でクリエイティブディレクターを歴任。その後、英国貿易産業省のエクスポートプロモーターとして、数多くの英国人デザイナーや英国ブランドの日本進出をサポート。2003年よりオリヒカのクリエイティブディレクターに就任。